塾業界に入った3年目のお話③

query_builder 2021/02/01
塾長ののんびりblog

~塾業界に入った3年目のお話③~

 

話し合いが行われた数週間後,Mと友人のNと趣味であるバンドの練習を,習志野のバンドスタジオで行うことになった。

たまにやるドラムは痛めた腰の負担も軽く,運動にもなる為,良い息抜きとなっていた。

 

いつも通り練習が始まった。するとしばらくして,突然お腹が痛くなりトイレに駆け込んだ。

さらにトイレに篭り数分経つと,気持ち悪くもなってきた。

汚い話だが,上からも下から出てくる状況で,どうにもこうにも動けなくなり,トイレに篭りっぱなしの状態になった。

 

それを見かねたメンバーの2人は練習を中止,私をトイレから連れ出し,練習場の椅子に横たわらせた。

 

1時間程休むと,体調も良くなり,自力で帰れるようになったので,2人とスタジオの方に謝罪し帰った。

しかし,数日後にはまた同じ現象が起き,どんどん痛みは悪化し,ついには血まで吐くようになった。

 

「あ,身体にも異変が来ている。」

 

ある夜,一人で悩み始めた。

 

どうしたら良いのだろうか。

辞めたくはないけどこのまま塾を続けたら,皆が言ってたように死んじゃうかもしれない。だけど,うまく相談が出来ない。

辞めるって言い出せない。

生徒どうしよう。

明日になると,また説教から1日が始まる

 

数時間考え混んでいた為,夜中になっていた。

しかし考えても考えても事態が解決することはない。渋々寝るしかないと思った私は寝床に向かった。

布団の前で,無意識にため息をついた。

寝たら明日が来る。寝たくないなと。

 

ため息が聞こえたのか,同棲していた彼女(今の嫁)が私に話しかけてきた。

 


嫁「仕事で悩んでるんでしょ。」


植「うん。」


嫁「辞めれば?」


植「今辞めたら仕事ないし,お金稼げるかわからないから


嫁「私が仕事するからお金なら大丈夫。仕事が見つからなかったら,バイトしながら家のことやってよ。私,料理するの嫌いでしょ?毎日料理を作って私の帰りを待っててよ。」


そう言われた私は勇気が湧いてきた,辞めるって言おう。そう思った私は吹っ切れたかのように退職の旨をTさんにすぐ伝えた。

 


一方で,辞めてからの悩みは2つあった。

第一に,生徒に迷惑をかけること。

第二に,嫁に迷惑をかけること。

 

当時の私は給料があまりにも低い為,貯金もできず,嫁の家に居候していた。要は「ヒモ」だった。

 

私は次の日から仕事に行かなくなった。

Tさんから連絡が来ても無視をし続けた。連絡に出たら,また塾に戻ってしまう自分が想像できたからだ。

 

後から聞いた話だが,理系教科と経理,面談や保護者連絡を担当していた私が抜けた後は,塾全体が大混乱し,クレームが殺到したらしい。もちろん当時の私は知る由もないが。

 

しばらくして,来なくなった私に対して,Mは怒った。勝手に辞めるなと。辞めるなら相談してくれと。

 

ごめん,その時はそんなことすらも考えられなかったよ。

 

退職して2週間が経った頃だ。

仕事を辞めて精神的に楽になっていった私は,なぜかパチンコ屋にいた。

普段なら,当たるまで or お金がなくなるまで続けるのだが,この日は嫌な予感がしたのか数千円負けてすぐに店を出た。

 

店を出た直後,パチンコ屋の前で一本の電話がかかってきた,生徒のお母さんからだった。

 

「運命の分かれ道」というものがあるのだとすれば,この一本の電話が,私の人生においての一番の分かれ道だったと思う。

 

続く


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